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2014年1月

2014年1月24日 (金)

Aさんと絵の出会い

友愛会の利用者さんを連れての一泊旅行。

2月の中旬に熱海にいく。

ちょうど「梅まつり」と「河津桜まつり」がやってる頃。

いつもの日常と違う時間を過ごすことは、いろいろなことを知れる。

以前、山梨の石和温泉に旅行に行ったとき、山梨県立美術館を見学してきた。

県立美術館の有名な所蔵絵画、ジャン=フランソワ・ミレーの「種まく人」の前で、Aさんがじっと見入っている。

Aさんは、その頃まだ入所してきて3~4ヶ月で、無気力な毎日を過ごしていて、スタッフにもよそよそしさが感じられる態度をとっていた。

声をかける。「他の絵も熱心に見ていたね。絵が好きなの?」

「観るのも好きだけど、実は描くのが好きなんだ」

Aさんは、今まで聴いたことのないようなはずむ声で答えた。

若い頃、美術大学に行こうと思っていたが、親の反対もあり、文系の大学に進学しサラリーマンになったとの話をした。

旅行から帰って、Aさんは絵を描きたいからと言って、生活保護の少ないお金をためながら画材をそろえていった。

自室はアトリエと化し、毎日のように絵を描いた。

体調が衰えてからも、スタッフや訪問看護師に手を借りながら、写生に出かけて行った。

それから亡くなるまでの4年間、彼は多くの笑顔と作品を残した。

変わらぬ毎日の中では気づきにくいこともある。

今回の旅行で私たちは、どんな利用者の「顔」を知り、どんなきっかけに巡り合うのであろう。

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画像は、山梨県立美術館所蔵、ミレーの「種まく人」

2014年1月17日 (金)

その後のカメさん

「カメを飼いたいの!」

昨年の夏の話だが、訪問看護の利用者さんで統合失調症のおばあちゃんが言ってきた。

彼女の家の近くのペットショップや熱帯魚屋などを見に行ったが見つからないくて、こちらで本人ご要望のミドリガメを2匹買った。

小さな水槽に入れ、エサ等の必要品もそろえて彼女に届けた。飼育説明書も添えて持って行った。

きちんと飼えるのか一抹の不安があったのだが、一人暮らしの彼女が少しでも寂しさを紛らわせればと思った。

思ったのだが…。

5~6日後、彼女からの電話が鳴る。

「カメに毒があるんだって。こんなの飼えないわよ。引き取ってよ

どうやら、たまたま彼女の家を訪ねた知人からそう聞いたようだ。

「毒はないよ。説明書にも書いてあるでしょ」

そんな言葉は耳に入らない。

精神症状一つであろう思い込みというか妄想というか、何にしても頑なである。

カメを引き取りに行く。

既に1匹は還らぬ姿に(T_T)

もう1匹をうちの訪問看護ステーションで飼うことにした。

それから半年。

元気に育ったカメさんは、3倍くらいの大きさになっている。

今は、ステーションのアイドルになっている。

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2014年1月11日 (土)

ユマニチュードという介護メソッド

以前、友愛会のFacebookページにも書き込んだ話である。

「ユマニチュード」という言葉を聞いたことがあるであろうか?

最近ちょくちょく紹介され始めたが、まだそれほど浸透していないと思う。

これはフランスで生まれた新しい介護メソッドのこと。

 介護職として長いキャリアを持つイヴ・ジネストさんとマレスコッティさんのご夫妻がこの「ユマニチュード」という介護哲学の提唱者。ジネスト=マレスコッティ・メソッドとして、フランス各地の病院や老人施設、そして各国の介護現場で評価を高めている。

メソッドの導入によって、特に認知症の方などの、拒否的であったり、攻撃的であったり、自暴自棄であったりすることからくる援助上の問題が解消されているとのこと(89割が解消されると言われている)

知ってのとおり、この国の高齢化は日に日に進んでいる。医療の現場においては、急性期、慢性期を問わず、認知症(あるいは認知機能の低下)の高齢者が増えている。特に急性期疾患の入院の場合などは、入院理由となった疾患の治療・看護を行うにあたり,認知症などによって理解ができずに、ケアを受け入れることが困難な状況も増えている。

そういった場合、治療のため、あるいは安全を守るため、やむを得ず抑制(身体拘束や向精神薬の使用)で対応する医療機関は少なくない。いや、ほとんどがそうした選択をしている。決して積極的にそれらを選択していないにしても、良いアプローチとは言い難い。抑制をするということは身体機能の低下を招く。それだけでなく、入院期間は長期化し、認知機能の低下も助長する。

利用者さん・患者さんにとっても、医療者にとっても、疲弊するアプローチをやめられる選択肢はないのかと考えている中で、この「ユマニチュード」が脚光を浴びているのだ。

「ユマニチュード」とは、「ユマニスト」(人間中心主義)とか「人間性の尊重」といった概念とは少し違い具体的なアプローチである。

このメソッドの根本的視点が面白いのは、人間が長い歳月をかけてどうやって人間になってきたのかということをもとに、対人援助に取り組もうと考えたこと。例えば立って歩くこと(直立歩行)、微笑むこと、手を取る・抱きしめるなどのスキンシップ、視線の交わし合い、ユーモア、装う文化(ファッション)、食事を楽しむこと(食文化)、シャワーや入浴など文化(清潔の文化)など、人間が人間らしい活動をすることに焦点があてられている。

その「人間らしさ」を起点に、利用者さん・患者さんとコミュニケーションをはかり、利用者さん・患者さんがどんな状況になっても「人間らしく」あり続けることを助けるというメソッドである。

メソッドの内容は当たり前のことを言っている。看護の教育でも、介護の教育でも言われ続けてきていること。それを、改めて具体的なメソッドにしたものだと思うのだが、それはつまり援助する側に、当たり前のことができない「何か」があるからなのではないのかと感じる。技術的なことではなく、援助側のその「何か」を消していく作業なのかもしれない。

ユマニチュードの修得には1年以上を要するとのこと。

日本国内では、まだ修得のためのプログラムはほとんどない。早急なプログラムの導入と普及を切にのぞむ。

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2014年1月 6日 (月)

ささやかな気持ちにささやかなお礼

先日、世の中がまだ年始の休みの中、一人の保健師さんが研修にみえた。

「訪問看護ステーションゆうあい」で精神訪問看護に同行しての研修である。

その方は、訪問看護の利用者さんのお宅にお邪魔させていただいたささやかな感謝とやさしい気持ちで、多分前の晩に作った、折り紙の「薬入れ」と「小箱」を持ってきていた。

そして、一軒一軒の訪問看護の帰り際に、一人ひとりに好きな色の物を渡していた。

訪問看護に同行した翌日、一人の利用者さんから電話が入った。

「一緒に来た彼女、ごめんなさい名前は覚えてないのだけど、ありがとうって伝えて。とてもかわいいものもらったから」

統合失調症のその利用者さんは、症状の兼ね合いでちょっとだけ記憶があいまいになることがある。

訪問時にもお礼を言っていたが、けっこう散らかしてあった自分のテーブルの上にあった「薬入れ」を見て、ふっと思い出したのだろう。

そして誰からもらったのかは覚えていたようだ。

ささやかな気持ちとささやかなお礼の交換・・・。

研修でくる看護師さんたちや、実習でくる学生さんたちのかかわりに、ほんのりすることがある。長くかかわっている利用者さんとは、良い意味でも悪い意味でも「慣れ親しんだ訪問の時間」となっていることがある。

そんなときに素敵なかかわりを教えてもらえる。

見落としていた視点を気づかせてもらえる。

いつも研修・実習にくる方と利用者さんに感謝である。

そして、今回共に訪問してくださった保健師さんの笑顔に、今日も、今後も、笑顔であろうと再確認する思いである。

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2014年1月 1日 (水)

新年にあたりご挨拶申し上げます

明けましておめでとうございます。

今年一年が皆様と皆様の周りの人たちにとって良いものとなりますよう、心よりお祈り申し上げます。

そして、友愛会の利用者の方や、山谷地区に居る方々、日本中の方々、世界中の方々にとって良いものとなりますようお祈りください。

 

さて、日々拡大化、そして顕在化しているように思える「生きづらさ」に覆われた人たちの存在。

それは、新しい支援や援助についての制度や法律の開発・施行と、標準化されマニュアル化された支援や援助をもたらしているように感じられます。

もちろん、それらのものも必要であり、総論としては良い流れだとも思えます。

ただ、制度・法律を作り、標準化・マニュアル化をすすめることは、「より困難な“すきま”に陥る人たち」を生むことにつながってしまったり、「生きづらさ」の深刻化・潜在化を助長する側面もいなめないと思います。

私たち友愛会の活動が、そういった方々や状況を見落とさず、いや、そこにこそ「ある」ことができ、「よりそうこと」ができる活動であり続けたいと思います。

画一化された方法では届かない、そして決まりきった価値観では分かり難い「生きづらさ」の要因や複雑さに、気づいてかかわれる活動であり続けたいと思います。

 

2014年1月1日

特定非営利活動法人 友愛会

理事長 吐師秀典、拝

※画像は、ジョルジュ・ルオーの作品「深き淵より」(1946年)です。

友愛会の事務所に掛けてある絵画(もちろんレプリカ)です。

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